渡辺恒雄
「日本の首相の靖国神社参拝は、私が絶対に我慢できないことである」 今後誰が首相となるかを問わず、いずれも靖国神社を参拝しないことを約束しなければならず、これは最も重要な原則である。・・・もしその他の人が首相になるなら、私もその人が靖国神社を参拝しないと約束するよう求めなければならない。さもなければ、私は発行部数1000数万部の『読売新聞』の力でそれを倒す。

膳所狒々新報

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資料 高田勝巳 日中関係論説

2008年03月13日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

中国人の視点で考えた「反日感情」の理由

 前回の『中国人が「最も嫌いな国」は日本でなくなった』で、中国人の日本に対する見方に一定の変化が表れている点を紹介しました。しかしながら、中国において「反日感情」がいまだ根強いのも確かです。この問題は、中国ビジネスに関わる者として、必ず自分なりに頭を整理しておかなければならないものではないでしょうか。

 中国市場でビジネスをされている方は、当然のこととして顧客の気持を十分理解しなければなりません。反日感情が高まり、日本製品の不買運動でもされたらたまりません。そこまでいかなくとも、日頃中国で一緒に働く同僚、部下や、中国出張時に中国で出会うビジネスパーソンが、実は、裏で日本に対して嫌悪感を抱いているとしたら、それは気持ちのよいものではありません。また、中国で現地法人を経営している会社にとっては、労務管理上も従業員の気持ちはしっかり認識しておく必要があると思います。

 私自身もそれなりに自分の頭は整理しているつもりですが、それでも、一昨年の反日デモのような事態に直面し、暴徒が上海日本領事館に投石する姿、そしてそれを止めようとしない中国政府の姿勢を見るにつけ、腹立たしいと同時に、複雑な心境でした。私は日頃、日本の社会に対し、中国のありのままの姿を日本の皆さんに伝えようと、時に中国サイドに立った発言をすることもありますので、なおさらそう感じたのだと思います。

 あの反日デモの直後、どこで私のことを知ったのか、中国政府の人が、日本のビジネス界の人の意見を聞きたいと上海事務所に私を訪ねましたので、ちょうどいいチャンスと思い、自分の考えを伝えました。いかなる背景があろうと、そうした手段は両国にとっていかなる付加価値も生み出さないし、世界の中国に対する評価を低めるだけであると、率直に話をしたのです。

中国人の「反日感情」を
冷静に整理してみる
 今回は、私になりに、中国人の反日感情について、中国サイドの視点を冷静に整理してみました。ただし、自分の親族が戦争中日本軍に殺された経験を持つ中国人が反日的な感情をもつことは、ある意味当然のことであり、そうした点は当然のこととして割愛しております。

1)世界の大国中国が、列強の侵略により自信を失ったコンプレックスの中で、最も気に障る相手が小国日本

 日本は、政治、経済、文化的にも自分の弟分だと思っていたら、明治維新以降、素早く西欧列強の真似をして反対に手痛くやられてしまいました。一時、日本の明治維新、近代化を学ぼうと多くの中国人が大正以降日本に留学、日本との連携に期待する向きもあったが、結局日本の大勢からは相手にされず、愛情が憎しみに変わったという面も否めません。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10010/

2008年03月13日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

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中国人の視点で考えた「反日感情」の理由

2)共産党政権の正統性の出発点は、抗日戦争に勝ったこと

 抗日戦争に勝ち、国民党政権を追い出し、農民と労働者を解放したとすることが、共産党政権の正統性の原点であるかぎり、共産党の求心力を強めようとすれば、その正統性の原点が強調されるのは、自然な成り行きでした。革命に参加していない江沢民が自らの正統性を強調するために反日教育に力を入れ始めたのではないかと、日本の識者からも指摘されているところです。

 この反日教育、もし本当に日本で報道されているように歴史の多面的な見方を否定するような恣意的な教育をしているとすれば、それはそれで中国にとっても考えものです。なぜならば、ある国の国民の平均的な歴史観がより人類的、グローバルな観点で多面的、かつ成熟されているということは、それはすなわちその国民の文化水準が高いということであり、高い文化水準はその国の真の国力のバックボーンとなるからです。こうした意味で、中国共産党が自己の正当性を強調することに力を入れすぎるあまり、結果的に「愚民政策」とならないよう、隣人として少し心配しています。

 最近中国でも、こうした懸念を示す中国の知識人が、その考えを中国の雑誌で発表して発禁となったというニュースを聞きましたが、そのような問題意識が出てきているとすれば、それはそれでよいことであると思います。日本の歴史教育の現状と国民の歴史観の成熟の度合いも誇れるほどのものでないかもしれません。それでも、日本においては興味さえあればいろいろな観点の歴史書が書店に山積みされており、この点われわれ日本人は幸いであると認識すべきであると思います。

3)日中国交回復の大前提は、現代日本は、過去の軍国主義、軍国主義者とは決別したものであるということ

 中国にとっての、日中国交回復の大前提は、現代日本は過去の軍国主義、軍国主義者とは決別したということです。そういえば、私が1985年に北京大学に留学しているときに、時の中曽根首相が靖国神社を参拝したことをきっかけにした反日デモが北京大学で発生しました。

 その時、私もデモの様子を見ようと行進の中にいましたが、私を見つけた中国人の同級生は、私が複雑な表情をしていたのか、日本人民と日本軍国主義者は違うはずだといって慰めてくれました。実態はそんなにはっきり分けられないと思いますが、大義名分としては、一応、そういう理由づけで彼らなりに心をおさめて、日中国交回復を始めたのだと思います。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10010/?page=2
2008年03月13日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

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中国人の視点で考えた「反日感情」の理由

4)日本はこれまでそうした大前提に対し、明確な説明をさけ、結果的に「黙示の承諾」と受け取られてしまっている節がある。また、日本人自身の歴史観の混乱が中国側からの批判に拍車をかけている面もある

 日本政府は中国側のそうした大前提を当然知っているはずですが、これまで国内外に対して、この前提に対する姿勢を明確にせず、あいまいなままで来てしまったのが現実ではないでしょうか。中国側にとっては、結果的に法的な「黙示の承諾」を主張するようなところがあって、小泉元首相の靖国参拝は、お約束と違うという気持ちがあるのだと思います。もちろん、靖国問題がいったん外交カードになってしまった以上、気持ち以外に政治的な目的もあるのも、また現実だと思いますが。

 また、この問題は、そもそも、過去の戦争を日本人としてどのように総括するのか、閣僚の靖国参拝をどのように認識するのかといった点に関して、日本サイドの歴史認識がまとまっていない、もしくは混乱している実態が、中国側からの批判に拍車をかけている部分があるのではないでしょうか。現状は、歴史問題に関し、日本政府が統一性に欠ける場当たり的な対応をするなかで、一部メディア等がその場当たり的な対応をうまく批判する中国サイドの論点に合致するような情報を提供し、そこを中国がさらについてくるという悪循環を繰り返しているような感じがします。

 日中の歴史観のすれ違いを見ていていつも感じますが、歴史認識は、百人百様でそれを無理に統一する必要もありません。ただし、日本政府としては、大多数の日本人が共感でき、また周辺国の人々もある程度許容できる歴史観というものを熟成してゆく必要があるように感じます。日本が敗戦の復興から高度成長そして経済大国になっていく過程においては、それほど気にする必要はなくとも、日本が経済大国になり、かつ経済のボーダーレスが進み、さらにアジア周辺国の経済力、発言力が強まるなかにおいては、特に必要になってくるのではないでしょうか。

 また、当連載第2回の「独立独歩の中国とアメリカありきの日本」で日本の戦略の欠如について言及しましたが、そもそも、戦略とは現状を認識することから始まり、現状認識は、現在につながる過去を適切に認識することから始まるものと思います。ということは、逆に日本の国としての歴史認識が定まれば、おのずとその戦略も定まるものといえます。

 反対に、中国は目先の戦略性が強すぎて、その歴史観もあまりにも一党独裁の共産党政権を擁護するための色彩が強くなりすぎている感じがします。それは、今後、中国の「和諧社会」が実現し、民主的な色彩が強くなるに従い柔らかくなってくるだと思いますが。ですから、中国から歴史問題に起因する反日感情というものも、批判する側の問題と、批判される側の問題と両方から見てゆかなければならないのではないかと、私は考えています。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10010/?page=3
2008年03月13日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

中国人の視点で考えた「反日感情」の理由

5)中国側もこれまで日本から多額の経済援助を受けてきたこともあり、このような敏感な問題に対し、大目に見てきた節もある

 中国側は、特に80年代、90年代までは、経済的にも苦しく、そうした中で日本から多額の経済援助を受けてきた背景があります。そうしたなかで、ややこしい話はとりあえず置いておいて、とにかく日中友好で日本からの援助と投資を引き出しましょうという気持ちがあっても不思議ではありません。

 しかし、現在、中国もこれだけ経済的に実力を持ち、日本の援助もなくなるなかで、より対等な立場で、本音で言え合える関係になっているはずだ、と中国サイドは考えているのではないでしょうか。日本人にとってみれば、これまでの援助に対し感謝はしないで、援助がなくなればすぐに言いたいことを言い出す、といった批判があるのも確かです。ただそうした気持ちは、「国家の品格」を目指す日本人としては、心に納めておきたいものです。

 これは、「そもそも経済援助とは何か」という問題にも行き当たると思います。当然それも国家としての当面の外交戦略というものに則っているとはいえ、心持ちとしては、利己的ではない利他的な観点に立つボランティア精神がないと成り立たないし、現地の人の心も揺り動かさないのではないかと感じております。

 そうだとすれば、ボランティアをしておいて、ボランティアを受けた人が感謝しないと言って腹を立てる人は、そもそもボランティアをする資格はないのではないでしょうか。本当に利他的な気持ちでしたことであれば、結果的にそれが中国の発展に役にたっているのであれば、中国人が感謝しているかどうかということはそれほど気にならないはずです。

 もちろん感謝されればこれほど嬉しいことはありません。しかし、利己的な気持ちから出発すれば、何か経済的な見返りを求めたり、せめて言葉でも感謝の言葉を述べてもらいたいということになってしまうのかもしれません。このあたりにも、中国人と日本人との間に感情的なすれ違いがあるように思います。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10010/?page=4

2008年04月17日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

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中国が靖国参拝を絶対に認めないシンプルな理屈
──チベットと靖国に見る 中国の本音と建前【後編:靖国問題】

 前回は「チベット問題」について、中国の本音と建て前という視点で述べてきました。今回はその【後編】として「靖国問題」を取り上げます。この2つの問題、ともに政治と宗教、政治と心の問題という意味で共通点があります。

 「靖国問題」──この問題は、日本人にとって、政治と宗教、心の問題にどう折り合いをつけるかと言った問題です。

中国が首相の靖国参拝を
認めない理由はシンプル
 この問題、実は中国にとってはきわめてシンプルな問題です。

1.A級戦犯=軍国主義者

2.靖国参拝=軍国主義肯定

3. 軍国主義肯定=(日本軍国主義と戦って勝利した)中国共産党の正統性否定

4.中国共産党の正統性否定=中国共産党支配崩壊のおそれ

 ということで、中国共産党率いる中国としては、首相の靖国参拝は、理論的には、絶対に認められないことです。かつての中曽根首相が、中国の圧力に屈して(または、胡躍邦を助けるためか)参拝をやめてしまったことは、中国から見れば、日本は間接的に、A級戦犯=軍国主義という最初のポイントを認めてしまったということになるわけです。ですから、中国としてはこれまでこの前提で来たので原理原則では妥協できないと考えています。極めてシンプルな構造なのです。

「国際政治の現実」と「心の問題」
日本人はどう折り合いをつけるか?
 ところが日本にとってはとても複雑なようです。

1.先の大戦に対する評価が日本国内で定まっていない。

2.日本の政治家にとって遺族会と言う大票田の意向を無視できない。

3.日本人の宗教観として、いかなる理由にせよすでに亡くなった人に対する批判はよしとしない。それに対し、中国から批判されることに対し、大いなる違和感がある。

4.日本の政治家、政府はこうした問題に対し、正面から取り上げることはせず、常に問題の先送りに徹してきたため、日本国内でもなんともいえない鬱積した感情が残っている。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10013/
2008年04月17日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

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中国が靖国参拝を絶対に認めないシンプルな理屈
──チベットと靖国に見る 中国の本音と建前【後編:靖国問題】

 私は、前回の冒頭で「日本人が個人として参拝することに関し特に違和感はありません」と述べていました。これは、おそらく靖国を参拝する多くの日本人にとっては「先の大戦で亡くなった遺族が殉職したら靖国に祭られると言うことを信じてお国のために殉じた以上、靖国を参拝するのは残されたものの勤め」と言う気持ちと、「仮に東条英機に戦争責任があろうとも、すでに亡くなった人に対する批判はよしとしない。東条英機に対し個人的に怨みを持っている人がいたとしても、彼が祭られているということが靖国を参拝しない理由にはならない」という気持ちが混在しているからと思うからです。

 一方、私は、「日本の公職にある人がその公職の立場として参拝することには反対する立場」です。私が、こう考える理由は以下の通りです。

1.日本人として、東京裁判が勝者の裁きで必ずしも公正でないというのは理解できるが、日本の戦後は、サンフランシスコ条約でそうした体制を追認した上でスタートしている。

2.A級戦犯は、連合国にとってのA級であり、日本人にとってどうなのかは日本人が別途判断すべき問題であるが(本来この点において日本の姿勢を明確に示すべき)、日本人の判断が定まらない以上、対外的には今後のアジア外交の観点からも、A級戦犯ということは表立って否定しないほうがよい。

3.公職として訪問することと憲法が定めた政教分離が本当に矛盾しないのか分からない。

4.厚生省がA級戦犯の遺族に遺族年金を支給することの一環として、靖国神社にA級戦犯の名簿を奉納することが政教分離と矛盾しないのか分からない(年金を払うのであれば奉納しなくとも払えばいいのではと思うのはおかしいでしょうか)。

 この問題は、日本人が国際政治の現実と日本人の心においてどのように整理をつけるべきかという問題だと思います。中国にとっては明確な政治的な戦略的な狙いがあっての問題意識があるわけです。日本人にとっては心の問題でもありますが、突き詰めれば結局は過去の歴史についてもしっかりしてコンセンサスが熟成されていない、その結果、戦略が定まらないというところに行き着きます。

 ところで、映画「靖国 YASUKUNI」、私は、まだ見ておりませんのでコメントできませんが、現状見ることができないのは極めて残念です。政治的に微妙な映画が、政治家だけ見ることができて、一般大衆が見ることができないのは、現象面だけ見れば、現在の中国みたいです。せっかく作ったのだから、ネット配信でもしたらどうでしょうか。アメリカのユーチューブもありますし・・・。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10013/?page=2


世界がいくら人権を叫んでも、中国は「国の安定」を最優先する
──チベットと靖国に見る 中国の本音と建前【前編:チベット問題】

 靖国問題については、もともとこの連載でお話する予定になっておりましたが、ちょうど最近李纓監督の映画「靖国 YASUKUNI」が日本で話題になっていますので、今回取り上げようと思っていました。そうしましたところ、北京オリンピック絡みでチベット問題もクローズアップされてきましたので、さて、今回はこちらを書いたほうがいいのかしばらく迷っておりました。ところが、よくよく、考えてみますと、この2つの問題、ともに政治と宗教、政治と心の問題という意味で共通点があると思い、勇気を持って思い切って両方書いてみることにしました。

 ともにタッチーな問題であり、どのようにまとめようか正直悩みました。靖国問題について、私は日本人が個人として参拝することに関して特に違和感はありませんが、日本の公職にある人がその公職の立場として参拝することには反対する立場ですので、下手な発言をして社会で物騒がしいことになってもいやなものです。

 また、チベット問題は、今現在発生している、人の命がかかっていること。そして、ある国の少数民族の独立問題に絡むという意味で、よりタッチーな問題であると思います。私は、この問題は中国の民族、領土に関わる内政問題であり。外国の人が下手に干渉するべき問題ではないと考えております。

 ただし、一方で、自分は心情的には仏教徒と思っておりますし(高田家は臨済宗の檀家ですが、私自身は別にどこかの宗派に属しているわけではありません)、また、私はダライ・ラマの著作の愛読者の一人でもあることから、この問題に関して自分なりにどのように気持ちの整理をつけるべきか悩ましい問題でもあります。

チベット以外にも
多くの人権問題を抱える中国
 まず、よりタッチーなチベット問題からお話したいと思います。なぜこの問題がよりタッチーかと申しますと、それは靖国問題が主に過去をどう認識するかということに焦点が絞られるのに対し、チベット問題は現在の人間の権益と命に直接関わる問題であるからです。

 今回のチベットにおける暴動(映像から見る限り)の直接的なきっかけがどこにあるのかは、いまひとつよく分からないのですが、世界での聖火リレー妨害の動きを見ると、報道されている通り「国境なき記者団」のような国際的な活動家の連携は確かにあるのでしょう。チベットの人権問題を唱える人にとって、北京五輪は世界にこの問題を訴える絶好のチャンスであることは間違いありません。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10012/
2008年04月16日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

世界がいくら人権を叫んでも、中国は「国の安定」を最優先する
──チベットと靖国に見る 中国の本音と建前【前編:チベット問題】

 一方、中国にとって、北京五輪は国威発揚の場である反面、チベットばかりでなく新疆ウイグル自治区の自治区内で独立を求める過激派の動きが活発化するなど相当緊迫した状況も起こりうるのは確かです。

 おそらく、日本でも報道されていと思いますが、中国での報道によりますと、3月に19歳のウイグル族の少女がウルムチから北京ゆきの南方空港便でコーラ缶2缶にガゾリンを充填し機内に持ち込み北京上空で爆破させようとトイレに入ったところで取り押さえられたほか、つい先週も爆発物を北京と上海に持ち込んだ過激派が逮捕されたばかりです。ともにアルカイダが海外で訓練した兵士であるとの情報もあります。

まずは国の安定が最優先
人権は二の次という現実
 中国にとっては、今はある意味こうした過激派に対する臨戦態勢にあると言ってもよいと思います。誤解を恐れずに言えば、中国の現実を目の当たりにするにつけ、アメリカがいくら人権を叫んでみても、国の安定がなければ人権はさらに踏みにじられるというのが現実ではないかと言うのが私の印象です。これは、イラクの現実を見れば誰でも分かると思います。

 かつてのチベットにおいて、国際法曹委員会がいう虐殺のような事実があったのかもしれませんが、中国では少数民族とのこうした軋轢ばかりでなく、漢民族同士でも文化大革命のような殺し合いが行われたと広く世界に知られているところであります。私は、だから目先の人権を軽視してもよいと言っているのではなく、それだけ混乱した国が最近やっと安定して来たのが現在の中国であるということを申し上げたいのです。

 きわめて現実的に人権を重視しようとすれば、その国、その民族の現実に即したステップが必要になるのではないかと思います。現在の中国の現実に即して考えれば、現実としてチベットは中国が自国の領土として長期的に統治している以上、その統治下における安定を第一に考えるべきでないかと思います。

 それを飛び越えて一気に独立を目指すのであれば、当然、命を掛けて、中国と戦火を交えることも覚悟しなければならないのですが、それはチベット人が自ら決めるべきことで、外国人がおいそれと干渉できる問題ではないものと思います。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10012/?page=2
世界がいくら人権を叫んでも、中国は「国の安定」を最優先する
──チベットと靖国に見る 中国の本音と建前【前編:チベット問題】

法律でチベット仏教を
抑制しようとした中国政府
 とはいっても、現状の中国のチベット政策はあまり巧くないのではないかと感じられる点もあります。2007年9月に施行された「チベット仏教活仏転生管理規則」は、チベット仏教において信じられている転生による仏の継承を中国政府の許可を以って行うという、伝統的な仏教の概念から言えば仏教そのものの根本原理を否定する法律であります。その狙いは、中国が「チベットの独立を目指す分裂主義者」と批判するダライ・ラマが認める転生を否定することにより、「分裂主義者」からの影響を排除しようとすることにもあるのでしょう。

 しかし、チベット仏教を信じる人からすれば、オリンピックを控えたこの時期に、敢えてこの問題を法制化することは、中国からすればオリンピックを控えて一気に引き締めたいと思ったのかも知れませんが、結果としては、チベットの人々の反中国という感情の高まりという点で、火に油を注ぐ結果になったともいえなくもありません。また、国際的にも、チベット仏教に対する理解者が少なくないなかで、中国の世界に対するイメージ戦略上もよいはずはありません。

欧米諸国で人気の高い
ダライ・ラマという存在
 欧米では、仏教徒として熱心にダライ・ラマを支援する映画俳優のリチャード・ギアが有名ですが、ダライ・ラマばかりでなく、多くのチベットの高僧が亡命した結果、欧米では、盛んにチベット仏教の布教活動と高僧たちによる社会活動が行われています。今回、欧米諸国の多くがチベットに対して同情的な態度を取る背景には、こうした活動の影響力を無視することはできないのではないでしょうか。

 最近、ダライ・ラマの著書で大変興味深いものを見つけました。「ダライ・ラマ科学への旅―原子の中の宇宙 (The Universe in a Single Atom)」ですが、この本は、ダライ・ラマが世界のノーベル賞クラスの物理学者、生命科学者たちと、宇宙の根本、生命の根本について交流した記録をつづったものです。

 これを読むと最先端の量子物理学やバイオテクノロジーの世界トップクラスの学者たちが、真剣に、仏教が有する宇宙と生命の起源に対する科学からヒントを得ようとしてダライ・ラマと交流する様子が生き生きと語られています。こうした様子を見る限り、欧米においてどれだけダライ・ラマが尊敬され、大事にされているか垣間見ることができます。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10012/?page=3
2008年04月16日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

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世界がいくら人権を叫んでも、中国は「国の安定」を最優先する
──チベットと靖国に見る 中国の本音と建前【前編:チベット問題】

 もう1つ面白い本があります。これはダライ・ラマでなく、幼少のときにチベットを離れて欧米で活動しているソギャル リンポチェ氏(Sogyal Rinpoche)の著書、「チベットの生と死の書(The Tibet book of living and dying)」です(この本は中国でも中国語訳が売られています。先日、たまたま、西安の古刹で見つけました。中国語版はダライ・ラマに関する記述は削除されています)。

 この本は、チベット仏教の真髄を分かりやすく現実に即した例を挙げて説明していますが、私にとって大変興味をそそられたのは、彼らチベットの仏教徒は、欧米における社会活動として、ホスピスのような医療施設においてホスピスのカウンセラーに対しも、如何に死に行く人を安らかに看取るかという意味での色々なアドバイスをしているということです。つまり、彼らの活動は草の根レベルで欧米人にも受け入れられているということです。

チベット問題は
中国にとって諸刃の剣
 私が言いたいのは、中国のチベットに対する政策は、中国にとって、まさに諸刃の剣だということです。ダライ・ラマと対話をして接点を見出せれば同時の多くの欧米の世論の支持を得られやすい反面、下手に妥協したような印象を与えれば中国国内の過激派の動きをさらに刺激しかねないということです。

 第三者として、日本人として、また、仏教徒として、私は当然、対話を期待しております。ただし、上記の述べたリスクに対し、どのような結論を出すか、それは中国がそしてチベット人たちが決めることです。

 また、それを暴力(聖火リレーを暴力的に止めようとする動きは大反対です)や、力でねじ伏せようとする動きは中国の選択肢を狭めるだけで、チベット人に対してもよくないような気がします。もちろんダライ・ラマが日本での記者会見でも言っていた通り、チベット人が正当に発言する権利は保障されるべきと思います(しかし、中国国内では、それを認めたら収集がつかなくなり、ほぼ不可能と思いますが)。


<次回【後編:靖国問題】へ続く>
http://diamond.jp/series/chinabiz/10012/?page=4

2008年02月28日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

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中国人が「最も嫌いな国」は、日本ではなくなった!

 最近(昨年12月ですが)中国のネットアンケートで、日本が好きな国の第3位になったことと、また、嫌いな国では、意外にも第1位ではなかったという話が報道(北京12月10日時事)されましたので、その情報元のネットを検索してみました。

 中国の「天涯コミュニティー」というネットが中国人に隣国の印象について行ったアンケートで、以下のような結果が出ました。

●質問1:
中国の20の隣国の内、行ったことがある国は?(合計19,682票)

 第1位:どこも行ったことがない:6,223票(31.6%)
 第2位:マレーシア:2,037票(10.3%)
 第3位:日本:1,453票(7.4%)

●質問2:
中国の20の隣国の内、最も好きな国は?

 第1位:パキスタン:2,944票(28%)
 第2位:ロシア:1,572票(15%)
 第3位:日本:1,421票(13.5%)

●質問3:
中国の20の隣国の内、最も嫌いな国は?

 第1位:韓国:4,215票(40.3%)
 第2位:日本:3,147票(30.1%)
 第3位:インドネシア:1,957票(18.7%)

 私は、日本が嫌いな国の1番手に来るものと思っていましたが、1番は韓国でした。確かに、何度か中国人のビジネスマンから韓国人ビジネスマンに対する不信感を聞いたことがあります。私は、個別の事例かと思っていましたが、印象は相当悪いようです。

決断は遅いが
約束は守ってくれる日本人
 このアンケートにからんで投稿された中国人の意見のうち、面白かったものを並べてみます。このほかにも、当然、特に歴史問題に関して、多くの日本に対する激しい恨みの言葉もありました。とはいえ、私にとって慰めになったのは、中国人が日本人を嫌いな理由のほとんどは両国の歴史に由来するもので、日本人の素養や信用に関する疑念はほとんど見当たらなかったということです。

 もちろん長期的な視点から見れば歴史問題は重要ですが、2国間の歴史認識はもともとそう簡単に共感できるものではありません。まずは現在の日本人に対して悪い印象がなければ、将来的にはその感情が緩和されることも期待できるわけです。

 中国人の日本に対する感情の変化は、これまで中国でだまされることはあっても、コツコツと信頼を積み上げてきた日本のビジネスマンの汗と涙の結晶といえる面もあるかもしれません。これは私が実際に中国で中国企業とビジネスの話をするときにも感じていることですが、日本企業は決断が遅いけれど、いったん契約すれば契約はしっかり守る、順法意識も強い、といったような認識を持っている中国人は多いように感じます。こうした評価が定着していることに対して、我々日本のビジネスマンは誇りを持っていいのだと思います。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10009/
2008年02月28日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

中国人が「最も嫌いな国」は、日本ではなくなった!

●投稿1:

 日本に対する感覚はとても矛盾している。歴史的な原因からすれば恨んでもいるし、また、一方で日本から学ぶべき点が多いのも確かである。彼らからは多くの点において我々が学ぶべきところがある。資源が少なく狭い国土、密集した人口など多くの先天的に不利な条件を克服して1、2位を争う先進国になったのは偶然ではない。日本は一方で憎くもあり、一方で我々が学ぶべき多くの優秀な点を持っている。

 現在、韓国は尊敬できない。何の文化的な蘊蓄もなく、歴史的には中国と日本の影響をうんと受けているにも拘わらず、民族性ばかり強いようで、実はたいした実力もない。そのくせに自尊心ばかり強い。だから、韓国は大嫌いだ。日本と比べても、今となっては韓国に対して反感が強い。韓国文化は中国と日本の影が多いにも拘わらず、盲目的にお高くとまっている印象だ。

→(筆者コメント):
日本に関してはありがたい評価ですけど、一方、中国の現政権の模範解答みたいな感じもします。韓国に関しては、そこまで言うかといった感じです。私は韓国の方と普段お付き合いがあまりありませんので何とも言えまえませんが、韓国の方もネット上の書き込みとはいえ、そのような意見が多くよせられていることについては、一度お考えになってみてもいいのかもしれません。

●投稿2:

 日本が一番好き。理由:高い国民の品格、環境保護、ハイテク、文化同源。でも、歴史と領土の問題では要注意。韓国が一番嫌い。理由:傲慢で無知な国民、文化略奪、何の道理もない領土争い、品質劣悪で高い製品、信用のないビジネスマン、枚挙にいとまがない。

→(筆者コメント):
「品格」と訳した元の中国語「素質」です。その人の本質的な性質という意味です。その他は、上記同様です。

●投稿3:

 日本に行ったことがある。日本が割合好きだ。良い教育、個人の品格、町じゅうの美女(彼女たちはみなおしゃれが上手で冬でもスカートをはいている)、街角には泥棒がいない、一所懸命働く、比較的平均的な収入、よい社会保障、病院は60歳の老人ばかり(彼らの医療費はタダ)、面白テレビドラマ、アニメ、ハイテク、いいアダルトビデオ、などなど我々が学ぶべき点は一杯だ。中国はいつになったらこのようなレベルに達するのだろうか。

→(筆者コメント):
日本女性のスカート、アニメ、アダルトビデオは日中友好に貢献しているようです。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10009/?page=2
2008年02月28日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

中国人が「最も嫌いな国」は、日本ではなくなった!

●投稿4:

 肝心な問題は、日本に対する嫌悪感はある時のある組織の世論の誘導の結果であり、韓国に対する嫌悪感は、多くのネット人口が韓国の本当の姿を看破し、韓国の悪行を知ってしまった結果の自発的なものである。国内のある不良メディアはいまだに韓国のためにお化粧をして、気持ちの悪い韓流の片棒を担いている。一体韓国のPR会社からいくら稼いだのか。

→(筆者コメント):
反日は、やはり誘導している組織があったのか。

中国の若者が夢中になる
日本アニメと日本人アイドル
 もうひとつ昨年1月16日ですが、これも時事の情報で、上海労働報の記事で5割の高校生が外国人になりたいと思っているという話があります。

 上海市教育委員会が市内の中学生、高校生に「国籍を選べるとしたらどこの国にするか」というアンケートをしました。これについても、日本は意外と健闘しております。

1. 中国の中学生が選びたい国籍
(1) 中国人:59%
(2) 米国人:13.1%
(3) 日本人:6.8%

2. 中国の高校生が選びたい国籍
(1) 中国人:未公表(相当少なかったのか?)
(2) 米国人:36.9%
(3) 日本人:14.9%

3. 中国の父母が選びたい国籍
(1) 本人:33.3%が米国籍を取りたい。
(2) 子供について:37.9%が米国籍を取ることを勧める。

 おそらく一般的な経済大国、技術大国という印象のほかに、日本のアニメやアイドルの影響が大きいと思います。先日も、重慶の友人のお宅を訪問し、中学生のお子さんの部屋を見せてもらったら、日本のアニメで一杯でした。お父さんによると、息子さんはもともと日本のアニメファンであるが、日本に旅行に連れて行ってから、すっかり日本のファンになってしまったと話してくれました。

 また、昨年浜崎あゆみさんの上海コンサートに行ってきましたが、熱狂的なファンの多いことに驚きました。みんな日本語で合唱しておりました。若者には、難しい歴史を語るよりまずは文化交流が一番のようです。それにしても、中国も自国の若者に自分の国を投票してもらえないといけませんね。ところで日本の若者はどうでしょうか。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10009/?page=3


“米中経済同盟”が生んだ中国社会の放置できない歪み

 本連載のはじめに「米国の保護膜」そして「米国ありきの日本」ということで、日本と米国の関係について話をしましたが、中国を見るうえでも、中国と米国との関係は重要なポイントです。中国と米国の関係につきましては、私よりもっとグローバルな視点をお持ちの方がとても参考になる論点を提示されています。

日本人が知らない
もたれあう中国とアメリカの実体
 山崎養世さんが書いた『米中経済同盟を知らない日本人』という本は、中国と米国の経済上のもたれあい関係が分かりやすく分析されています。主な内容は以下の通りです。

1.米国企業は、安い労働力を有する中国に米国流マネジメントを持ち込み、戦後日本経済の台頭後、初めて日本と対等に競争できる製造現場を獲得、中国発米国及び世界に対する輸出を増大させた。

2.それにより米国企業は好業績、株価の堅調を維持し、株価の堅調は、米国の消費の堅調、米国の消費の堅調は世界の景気を牽引した。

3.中国は、米国を懐に呼び込むことにより輸出力の増大、外貨の獲得、経済成長の実現、そして、米国として中国の現体制を支持せざるを得ない戦略的環境を実現させた。

4.また、本来自由な為替体制であれば、輸出が増えれば人民元高になり、上記の好循環も自然と安全弁が働き、調整局面を迎えるはずであった。しかしながら、人為的に操作されている人民元は長い間安く据え置かれ、結果、本来ありえない、長期間に及ぶ不況なき、世界経済の成長が続いている。

5.一方で、本来ありえない、終わりのない経済成長の循環により、世界レベルでの環境破壊(米国と中国は資源浪費の2大大国ともいえる)、過剰流動性によるバブル経済という負のエネルギーが蓄積されている側面もある。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10005/
2007年12月25日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

“米中経済同盟”が生んだ中国社会の放置できない歪み

 この構造は、中国に投資する人にとってはある意味安心材料となります。これは、中国が米国の、そして世界の経済発展の主要なエンジンになっているということですが、そうすると、米国としても、中国を支援せざるを得ない。中国経済が崩壊して、最も大きな影響を受けるのは米国かもしれません。

 米国の議会が、人民元の切り上げを叫んでも、少なくとも米国の産業界は支持しない。人為的に切り上げを阻止することによる歪みが蓄積することのリスクを考え、ソフトランディングすることは求めても、急激な切り上げ要求は米国も怖くてできない。これらは全て中国の目先の安定要因として働くことはまちがいありません。

歪みの解消に
動き始めた中国政府
 しかし一方で、蓄積する社会の歪みは、放って置くと、長期的に不安定要因になる可能性もあります。

 人為的な人民元レートのほか、安い労働力も1つの歪みの結果です。なぜ工場労働者の賃金が安いかというと、それは、農民からの安い食料買い上げ価格と関係があります。

 中国政府は、食料買い上げ価格を人為的に安く維持することにより、工業と都市部の発展に回してきたわけですが、それにより、相対的に貧しい農民が存在し、農民が貧しいからこそ、安い賃金で工場の労働者として供給されたということです。そして、それが行過ぎた結果が農民の暴動や農地の荒廃、環境破壊にあるわけです。

 当然、中国政府も、こうした問題は認識しており、これまでの歪みから生じる国内問題、すなわち、環境問題、貧富の格差、農民暴動などに正面から取り組もうとしています。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10005/?page=2

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2007年12月25日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

“米中経済同盟”が生んだ中国社会の放置できない歪み

 為替レートの面で言えば、徐々に切り上げを受け入れてきている。人民元の切り上げは、確かにしんどい部分もある。しかし、かつて日本が円高を克服してきたように、経済力の実体にあった為替レートを受け入れるということは、結果的に、国内経済の効率化、資源浪費大国からの脱却、環境問題の改善、技術力の向上、内需の拡大を促進するはずです。それは、中国自身がバランスの取れた、より成熟した国家になるために避けて通ることのできない道なのでしょう。

 農業問題にしても、第4回でも触れたとおり、中国は2000年間以上続いた農業税を廃止し、補助金を支払うという制度をはじめ、農村を豊かにする方向に転換を始めている。ということは、これからは、人民元の為替レートばかりでなく、労働者の賃金も上がってくるということになります。農村が豊かになれば、農民は地元にとどまることになり、工場労働者の供給は確実に減ることになる。

 こうした一連の動きは、すでに中国の産業界にとってはどれも目先のマイナス材料であるが、これまで蓄積した歪みを補正すると言う意味ではやむを得ないもので、長期的にプラスになると考えるべきなのでしょう。

 最近騒がれている米国のサブプライムローンの問題も、ある意味、米中経済同盟の落とし子ともいえるものかもしれません。なぜならば、この経済同盟により終わりのない経済成長が続き、その結果、世界的な金余りが出現し、その結果、理性を失った資金がサブプライムローンの問題を起こした側面があるからです。

 日本の新聞に、中国の国家ファンドが、サブプライム問題で多額の欠損を出したモルガンスタンレーに出資するとの記事が出ていましたが、これは正にこうした因果あるいは因縁関係を見事に暗示する出来事であると思います。これからも、こうした軸を見据えたうえでの分析が、ビジネスマンとしても欠かせないのだと思います。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10005/?page=3

2007年12月10日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

300年ぶりの経済リベンジに沸く中国

 前回『中国人を「ずるい」と言っても始まらない』ということで、色々と言いたい放題なことを言わせていただきましたが、この文章について、投稿サイトの2ちゃんねるで議論されていたのには驚きました。その中でも、究極のコメントは、「要するに、中国人と付き合わなければいいってことだろ。」でした。

 なるほど、その通り!といいたいところでしたが、一方で、中国と中国人と付き合わなければ、成り立たないのが日本の現状であると、改めて考え直されました。経済面だけをみても、今すぐに中国との取引をやめればどういうことになるか考えると、おそらく以下のような状況が予想されます。

 仮に、日本人が、現在の現代的な、便利で、贅沢で、楽な生活をやめて、老子のいう「隣国相望み、鶏犬の声会い聞こえて、民、老子にいたるまで、相往来せず。」のような生活で、石油資源にも頼らず、自給自足で、つつましく一汁一菜の生活に戻れれば別ですが、いまさら無理でしょう(私は、個人的にはそういう生活も悪くないと考えておりますが・・・)。

1.中国から食料の供給がなくなり、日本人は飢え死にする。そこまで行かなくとも、食料価格は暴騰する。

2.中国からの安価な工業製品の供給も止まり、急激な物価上昇が起こり、消費は低迷する。

3.中国への輸出で好業績を出している日本の輸出産業が大打撃を受け、業績低下、日本の株価も暴落。それをきっかけに世界の株価が連鎖的に暴落し、世界的な金融危機に。

 そうすると、日本は、やはりなんだかんだ言っても、中国と中国人と上手に付き合っていかざるを得ないんだなと、改めて考えさせられた次第です。

 前回は、中国の負の側面ばかり言ってしまったのかもしれませんが、悪いことばかりであれば、日本と中国の関係はここまで発展しないと思います。前回は、あくまでも色々苦労をされている日本企業の方もいる中で、日本人としても心の持ち方を、最悪の事態も想定した上で考え直してみた、ということでご理解頂ければ幸いです。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10004/
2007年12月10日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

300年ぶりの経済リベンジに沸く中国

 また、前向きに考えれば、日本が中国と付き合うことにより、必ず双方にとって有益な付加価値の創造に結びつくはずであると私は考えております。そして、そこに至る上での、ステップとして、マイナス側面についても目をそらさず、実態を分析、認識してゆきたいというのが私の立場です。

 さて、本題に入ります。

300年ぶりのチャンス
 日本の方が中国にきて、最初に感じるのはその活気だと思います。最近、株価も不動産価格も堅調ですし、中国にいる中国人は、ほんとうに皆さん生き生きとした顔をしています。『鼻息が荒らそう』という一言に尽きるような顔をした人をよく見かけます。

 それもそのはずで、中国、中国人にとっては、ある意味、360年ぶりの大きなチャンスの時期にあるわけです。だれでも鼻息が荒くなっても不思議ではありません。

1)1949年の共産革命から59年
2)清朝の滅亡(1912年)から96年
3)清朝の始まり(1644年)から364年

 2008年を基準に考えますと、共産革命から59年、清朝滅亡から96年、清朝の始まりから364年ということになります。中国の歴史を見ますと、色々王朝が勃興しては滅ぶということを繰り返しているわけです。どの時代でも勃興期、成長期、安定成熟期、衰退期、そして革命を経て次に王朝に引き継がれています。こう見てみますと、この中で特に、成長期、安定成熟期が、いわゆる国力も安定した「いい時代」なわけですけど、中国にとってこの前の「いい時代」は、300年以上遡ることになるわけです。

 今から364年前に清朝が生まれて、その後、世界の帝国としての最盛期を過ぎて、1912年に中華民国が生まれました。ところが、皆さんご存知の通り、この国は西欧列強にやられっ放しで「いい時代」を過ごさぬまま、1949年の共産革命で現在の中華人民共和国が生まれました。ところが、今度は、やれ大躍進だ、文化大革命だと混乱が続いて、ずっと世界の先進国の後塵を拝してきたわけです。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10004/?page=2
2007年12月10日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

300年ぶりの経済リベンジに沸く中国

 それが、1978年以降、小平さんが出てきて改革開放をはじめ、それが本当の意味で定着し、自信をもって発展を始めたのは、1992年の南巡講和以降のことではないでしょうか。そして、中国人にとっても、世界の超大国の1つとして再び表舞台に上がれるかもしれないと思い始めたのは、ほんの2000年以降のことではないでしょうか。

 ですから、誇り高き中華民族にとっては、ほんとうに長い間、300年の屈辱の中で、そのコンプレックスからやっとで解き放たれたというのが、今のこの時代なのであると思います。ですから、ある意味、最近豊かになった中国の方は、悪い意味で言えば成金的な面も否めません。

 ただ、それはそれで、隣国の日本人としては、ある程度そういう時代背景にある人たちなんだということで理解し、隣人として祝福してあげる余裕があってもいいのではないかと思います。単に鼻息の荒い、行儀の悪い人というよりも、少しは我々の気持ちも楽になると思います。ただし、一方で、私のなかには、中国の方にはもっともっと洗練してもらえればという気持ちがあるのも確かです。

日本の経済成長と同じ道
 経済的にも世界の工場、輸出基地として力を整えつつあるのが、今の中国です。経済的成功の1つのポイントは、国際価格と国内価格のギャップが富の源泉となっていることです。

 昔、日本が明治維新のときに農村を犠牲にして、それこそ富岡製糸場の話じゃないですけど、農業の安い労働力に頼って輸出産業を振興して、その中で近代化を実現したように、中国も、農民からの農産物の買い入れ価格を市場価格よりもうんと低く抑えて、それで農民の経済レベルを低く抑えておいて、そこから出てくる農民の労働者を安く使って製品をつくって、それを国際価格で売ることによるギャップが、今の中国の富の源泉になっていると思います。

 これは、結局日本が明治維新に通った道とも、ある意味共通する部分があります。そういう意味で、中国の今の格差、日本でも最近、格差と言われますけど、もっと激しい格差があるのが中国の現実で、最近、胡錦濤政権になって調和のとれた社会とか、最近も、労働法が1月1日から変わって、非常に労働者寄りの傾向が出てきました。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10004/?page=3

2007年12月10日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

300年ぶりの経済リベンジに沸く中国

 また、農産物の買い上げ価格を引き上げたりというのも、やはりこの辺が行き過ぎたという中で、少し調整局面に入っているというのが、今の中国のポジションだと思います。

農村の安定と発展は本物か?
 もうひとつ、歴史的観点から見れば、実は胡錦濤政権は、歴史に残る、大変なことをしました。それは、紀元前3世紀の秦の始皇帝の時代から今日まで続いた「農業税」の廃止を2004年から本格化させ、2006年の1月1日から全国レベルで廃止したということです(厳密には2000年から安徽省で試行が行われている)。

 これは、それまで2000年以上続いた、国にお金又は年貢を払って農業をするという体制を止めて、日本その他先進諸国と同様に農業に補助金を出す体制に変えたということです。秦の始皇帝以来というのは、先日北京で中国人の友人に聞いた話で、歴史学上どのように判断されるのかは分かりませんが、いずれにせよ、歴史に残る改革であることは間違いありません。

 農業税の廃止が中国社会全体に与える影響ははかりしれません。目先の懸案としては、暴動が頻発する農村の安定ということがあったのは間違いありませんが、長期的に見て、これにより、中国の農村が徐々に豊かになり、とてつもない消費を生み出すことはまちがいありません。

 多くのチャイナウォッチャーは、オリンピックと万博の後の中国について云々しますが、これから我々が特に注意してウォッチしなければならないのは農村の安定を発展、そして民主化の行方であると思います。万博後の中国の発展のエンジンは、おそらく農村の安定と発展ではないでしょうか。

 もちろん、失敗した場合の反動も大きいはずですが、きっとやり遂げるのではないかという期待感が世界の中国シフトを支えているのだと思います。私は、経済学者ではありませんので、具体的な数字の裏づけは今のところ持ち合わせていませんが、現場の感覚としてはこの方向性は間違いないと思います。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10004/?page=4

2007年11月08日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

独立独歩の中国とアメリカありきの日本

 中国で生活していて、日本における中国関連の報道、日本社会の反応を見ていて違和感を感じることが多々あります。比較的最近の例をいえば2年前の上海での反日デモがありますし、直近では食品安全の問題があると思います。

マスコミに踊らされ、
過剰に反応する日本人たち
 上海のデモの時は、日本では特にデモの激しいところだけがテレビで繰り返し、繰り返し流されていたそうですが、その時、私は、デモ隊が通った延安路に平行している南京路で(デモが行われている最中に)、何事もなく上海伊勢丹とその周辺で買い物をしていました。日本のマスコミは、時にヤラセ問題が発覚するように、とにかく、視聴率が取れるセンセーショナルな場面を流すことに専念し、社会の媒体としての使命を忘れがちなのでしょう。

 当時、私は、自分なりに情報を分析した結果、あのデモは、一部の扇動(扇動した側にはいろいろな思惑があったかもしれませんが。)されやすい若者が熱くなって憂さ晴らしをしているだけのことで、そのデモの最先端で「はい日本人です。」といってフラフラしない限り日本人に危険が及ぶとはまったく考えておりませんでした。日本人にけが人でもでれば逆にあっという間に警察に鎮圧されたでしょう。私にすれば、それは、現在のニューヨークのハーレムで日本人が夜遅くに一人でフラフラしないのとなんら変わりないことです。

 しかしながらその当時の日本社会の対応といえば、相当情報をもっているはずの日本の大企業(私が知る限り中小企業の方は普通通り中国に出張していました)でさえも、マスコミのそうした論調に流され、中国への渡航を禁止し、出張を取りやめる例が多発しました(私は、顧客からの相談に対し、別に出張を取りやめるほどのことでないと説明しました)。

 最近はやりの危機管理コンサルタントが渡航禁止を勧告したのかもしれませんが、私からすれば、たいしたことのない今回のデモでさえ過剰反応して渡航禁止をするということは、正確な情報分析が出来ていないのではないかと思いました。正確な情報分析ができないということは、逆に本当に危険が迫ったときにも、反対に危険を察知できず、従業員を危険な目に合わせてしまう可能性もあるのではないでしょうか。戦前の日本政府が思考の停止状態に陥り、組織として正確な情勢分析ができず、国民を悲惨な目に合わせたように。

 なお、余談ですが、あの時一番情けないと思ったのは、デモ隊の襲撃を心配して看板に垂れ幕を張って日本企業ということを隠そうとした銀行があったことです。別になにも悪いことはしていないのに、なぜ自分の顔を隠すようにするのでしょうか。警察に連行されフラッシュを焚かれ顔を隠す犯人でもあるまいし。それに垂れ幕をしたら余計目立って危ないのではないでしょうか。それとも、可愛そうな顔をして同情を買おうとも言うのでしょうか。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10002/
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2007年11月08日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

独立独歩の中国とアメリカありきの日本

 最近起こった食品の問題についても、同様のことが言えます。中国はいろいろな意味で日本より混乱した国です。自分の身は自分で守らないといけないことは、ここで生活している中国人、そして私のような駐在している日本人も常に感じています。

 食品の安全の問題は、別に今に始まった問題ではありません。私が中国に留学していた1984、85年においても、工業用エチルアルコールを白酒として売り出し、飲んだ人が失明する事件が起こっていました。私が上海で生活を始めた1993、94年頃も残留農薬で集団食中毒という問題が上海で問題になりました。中国の消費者自身もこうしたことを承知の上で、自己防衛策をとっているのです。

 当然、中国の野菜を中国に輸出している日本の商社も、検閲をする日本の役所も承知のはずで、その前提の上で生産現場から加工基地にいたるまでの管理体制を確立しているはずです。その結果が、中国政府が主張している通り、日本における検閲で輸入中国食品の合格率が世界のなかでもトップレベルにあるということなのでしょう。

 本来マスコミが行うべきことは、ダンボール肉まんの問題だけを面白おかしく煽るのではなく、消費者がリスクを判断できる客観的な情報を整理してつたえることなのではないでしょうか。どのようなものであれば安全性が高く、どの様に見分ければいいのか、どのようなものが危なそうなのか、判断できる情報を伝えるのがマスコミの使命なのではないでしょうか。

米国の保護膜を取り除けば、
晴れ渡った世界が見える
 中国情勢が日本にどのように伝わっているかということを見れば、中国以外の成果の情勢が日本にどのように伝わっているかも容易に類推できます。中国だけが見えくいのではなく、世界そして日本そのものの実情も見えにくいのだと思います。それを私なりに分析したのが以下の図です。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10002/?page=2
2007年11月08日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

独立独歩の中国とアメリカありきの日本

 私は、セミナーなどで、現在の日本の社会構造を考えるうえで前ページの2つの図を使っております。この図は相当論理の飛躍と思われるかもしれませんが、まず左の図は、立川武蔵さんという有名なインド哲学の先生がいて、その方が書いた『日本仏教の思想』という、日本の仏教をインド哲学者が分析したとてもおもしろい本からお借りしたものです。

 その中に、日本の仏教を説明するものとして如来像というのがあり、その周りに煩悩がある。この宇宙というのは私が便宜的に足してみたのですが、これは何を言いたいかというと、如来像というのは、いわゆる仏教でいう仏性とも言えるものと思いますけど、悟りを開いた状態のことを言うわけです。それに対して煩悩があるから、これを取り払えば、人間、だれでも仏性はもともと持っているので、これを取り払えば悟りを開けるのだという理論的解釈です。

 私はこの図をみていて、ふと思いついたのですが、この煩悩の部分を米国傘による保護膜に、如来像を日本に、そして宇宙を世界に読み替えると今の日本にそっくりではないかと思ったわけです。米国の保護膜が煩悩というのは笑ってしまいますが、それを取り除けば晴れ渡った世界が見えるわけです。

 保護膜をとるということは、別に日米安保条約をやめて、日本はすぐ軍備化しろとかそういうことを言っているのではありません。戦略的にアメリカを利用するところは利用するとしても、発想としてはこういうものは一回取り去った上で独立独歩の上で日本の戦略、生きてゆくべき道を考え直してみるべきではないかということを言いたいのです。

 そうすると保護膜がないわけですから、適度な危機感を感じるとともに、下界の空気を直接に感じ、相当頭が明瞭冷静になるはずです。世界の実情も手の取るように見えてきます。その上で、現状分析をし、アメリカとどう付き合うか、中国とどう付き合うか、日本の国内体制をどのように変革してゆくのかグランドプランが自ずと見えてくるはずです。

 コンサルティングの仕事をしていていつも思いますが、お客様が何かの相談に来て、まずやるべきことは現状分析で、現状分析ができれば半ば仕事は終ったようなものであります。そこがしっかり出来れば、後は当たり前のことを当たり前にすればよいのですから。

 日本の政治制度においてこの保護膜をどのように取り除くべきか、私は政治の専門家ではないのでわかりませんが、中国ビジネスにおいては、まずはこの保護膜に保護されていないルートから情報を取ることと自分を健全な危機感のあるポジションに置くことであると思います。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10002/?page=3
2007年11月08日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

独立独歩の中国とアメリカありきの日本

中国と日本の社会構造の違い
――独立独歩の中国とアメリカありきの日本
 下の図は、日本と中国の社会構造を自分なりに分析したものです。半ば思いつきで書いてみたもので、単にイメージとして捉えていただければと思いますが、このように構造的に絵にして、日本と中国と比較すると面白いことが分かります。日本は、米国の保護膜があるために、日本の政治家、官僚らの危機感が欠如してしまいます。すると、政治・経済制度のゆがみが出てしまう。結果として、政治・経済で、政治の面では戦略の欠如、経済の面では不透明とか不公正、保護産業をいたずらに温存してしまう。

◎日本 ◎中国


 経済のほうをみると、世界で戦って勝ち取る勝ち組の企業と守旧派の保護産業と、日本でも二極化してしまうと。一方、政治の戦略の欠如は、日本の中国との外交を見ていても、お分かりの通り、外部から見る限り、やられっ放しというか、何かセンシティブ問題が起きると、すぐ中国から反日の問題が起きたり、何か牽制させられて、靖国の問題もそうですけど、肝腎な問題になるとうまいカードを切られてしゅるしゅるとしぼんでしまう。日本人もそれを見ていて歯がゆい思いをして、「嫌中感情」がまた深まってしまう。

 また、日本国内の問題を見ていても、日本の社会保険の問題とかいろいろな矛盾や教育の問題を見ていると(最近反省されている、いたずらにゆとり教育を言ってしまうというのも)、もとはと言えばこういう危機感の欠如から来る部分じゃないかと感じております。

 一方中国はどうかというと、右の図で、まずは、独立独歩が基本的な姿勢です。これは自分でも核兵器を持ってアメリカと対峙しているわけですから、それはもう、中国のトップは直接にそういう危機感をもってアメリカと接している、世界と接しているということによって、明確な戦略が生まれてくるわけです。ただし、中国の国内問題、混乱というのは、我々が考えるよりもっともっと複雑で、環境の問題、貧富の格差の問題、民族問題など、日本と比べても、まだまだ非常に混乱した部分があるわけです。
http://diamond.jp/series/chinabiz/10002/?page=4
2007年11月08日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

関連キーワード:中国 社会問題

独立独歩の中国とアメリカありきの日本

 しかし、混乱した中でも、ひとつの明確な戦略を打ち出していかざるを得ないということがあって、それが政治と経済に分かれていきますと、政治のほうは、今は一党独裁ということで維持されている。一党独裁の反面で、情報の偏在と汚職があるというのが現状ですね。一党独裁で明確な戦略の中で、外交というのは非常にしぶとく、うまくやっていると思います。

 アメリカとあれだけ対峙していると思いつつ、ちゃんとアメリカの落としどころも押さえていて、いざとなると、あれだけ強健な顔をしていても、実は裏で、例えばイラク戦争のときも、イラク戦争に反対すると言っておきながら裏でアメリカの国債を買い増したり、貿易問題が起こると高官を派遣してアメリカのものをいっぱい買って帰ってくるなど、使い分けが非常にうまいのです。これは中国何千年の歴史の成すものかもしれませんが、そういうしぶとさがある。

 と同時に、国内の貧富の格差の問題、汚職の問題、頻発する民衆の蜂起とまでは言いませんけど、農民が蜂起したり、そういう問題も起きているという問題も抱えている。経済のほうを見ますと、やはり富と貧困ということで沿海と輸出産業はどんどん豊かになっている。一方で内陸はまだまだ遅れていて、やはり、政府が相当後押ししないと、特に農村との差でいくと、それが日本でいう格差なんてかわいいものかもしれません。
 
 おそらく、日本の皆さんが、いろんな媒体を通して日ごろ目にするのは、この図のたった一つの切り口で、ひとつの事象を個別にいろんな角度から見ると、中国って一体どんな国なんだって非常にわかりにくくなると思うんです。ですから、おそらく一つの事象を見る場合でも、このようにより構造的に見れば、中国の実情が少し理解しやすくなるのかなと思います。
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冷凍力

  • Author:冷凍力
  • ニュース・コメント・ブログ「膳所狒々新報」主筆。
    立ち位置は外交安保教育刑事分野で右、社会経済分野で左。
    一応貴族で爵位は猴爵およびシーランド公国男爵。
    膳所の某所山奥に在住の好色酒好き秘湯ヲタの絶倫狒々(冷凍力)が戯言を宣います。キーワードは是々非々(部分否定・部分肯定/全否定・全肯定)。
    別荘は西九州。
    最近のマイ・ブーム・・・リョーユーパンのマンハッタン、湖池屋のカラムーチョ・スティック、キリンのストロング・セブン、Wエンジン、COWCOW、鈴木Q太郎(ハイキング・ウォーキング)のヤマタイコク(ヒミコサマ)、神戸蘭子、寺田ちひろ、佐々木希、新妻聖子、喜屋武ちあき、浜田翔子、中村静香、杉原杏璃・・・等々。


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今や朝日新聞を筆頭とする内外反日ファシストたちが協同して捏造した今世紀最大規模の対日歴史偽造ということが明白になってきた。このような反日プロパガンダを断じて許しておくわけにはいかない。
日本に”思想警察”を誕生させてはならない。この法案はそうなる可能性を秘めている戦後最悪の危険な法案である。
敵性傾向の濃厚な国内最大規模の一部外国人集団に国家統治権の一部たる地方統治権=外国人参政権を付与するという日本開闢以来最悪の愚挙を断じて許してはならない。これは正真正銘真正の売国行為であり、100%違憲行為である(某傍論のごときアタマノイカレタトンチキ理論は完全除外)。

特亜政府地方参政権保持特別永住者地方政府日本政府

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